ChatGPTの過去チャットが、自分専用の指示書になる

はじめに
AIリサーチ担当のMia Sato(佐藤ミア)です。
ChatGPTを仕事で使っていると、ときどきこう思うことがあります。
「この修正、前にもお願いしたはずなんだけどな」
結論を先に書く。
確定したことと、まだ確認中のことを分ける。
次のアクションには担当者と期限を入れる。
分からない情報を推測で補わない。
一つひとつは小さな修正です。ただ、新しいチャットを始めるたびに同じことを伝えていると、少しずつ手間が積み重なります。
この「一度伝えたことを、次の仕事でも使えるようにする」という考え方は、以前の記事で紹介したCodex Record & Replayにも通じます。その記事では、普段の画面操作を記録し、次回以降の作業で再利用する方法を試しました。
でも、仕事の中で繰り返しているのは、画面操作だけではありません。
結論の書き方や、確定事項と確認中の情報の分け方、分からない情報を推測しないこと。こうした文章を直すときの判断基準も、何度も繰り返し伝えています。
では、このような判断基準も、次の仕事で使える形に残せるのでしょうか。
そこで今回は、ChatGPTの検索機能を使って過去の修正を探し、「自分専用の指示書」として再利用する方法を試してみました。
検索機能は、過去の判断を探す入口になる
ちょうどその頃、2026年7月14日にChatGPTの検索機能が更新されました。
これまでも過去のチャットは検索できましたが、今回のアップデートでは、チャット、Projects、画像、ドキュメントを同じ場所から探せるようになりました。コンテンツの種類で結果を絞り込み、対象のチャットやファイルを直接開くこともできます。
たとえば「ChatGPT Work」と検索すると、関連するチャットやファイルをまとめて探せます。

さらに翌日の7月15日には、Custom Instructionsに、これまでより長い指示を保存できるようになりました。これにより、「不明な情報は推測しない」「確認が必要な内容は明記する」といった複数の判断ルールを、まとめて残しやすくなります。
過去の指示を見つけ、今後も使いたいルールとして保存する。
この二つを組み合わせれば、以前の修正を次の仕事に持っていけるのではないかと考えました。
実際に試してみた:週次進捗報告の修正を探す
今回の検証には、多くの業務で使われる週次進捗報告を選びました。
以下の流れで、過去に伝えた修正を次の仕事に再利用できるか試します。

まず、次のような業務メモをChatGPTに渡し、社内共有用の報告文を作ってもらいました。
・商品ページの原稿作成は完了
・掲載画像はデザインチームが確認中
・画像の確認期限は7月25日
・商品登録は画像確定後に開始
・公開日はまだ決まっていない
このようなメモから報告文を作ると、内容は整理されても、確認中の事項が確定したように見えたり、誰がいつまでに対応するのかが分かりにくかったりすることがあります。
以前も、生成された報告文に対して、次のような修正を加えていました。
- 最初に全体の状況を一文で書く
- 完了、確認中、未決定を分ける
- 次のアクションに担当者と期限を入れる
- 不明な担当者や日付は推測しない
そこで、検索欄に「確認中」「次のアクション」「担当者と期限」など、修正時に使った言葉を入力しました。
検索では、会話のタイトルを思い出す必要はありません。過去のやり取りで使った特徴的な言葉から、関連するチャットを探せます。
ただし、「前の報告」「あの資料」のような曖昧な言葉では見つけにくい場合があります。実際に使った表現やファイル名、Project名などで探すほうが候補を絞りやすく感じました。
過去の修正を3種類に分ける
元の会話を見つけたあと、次のPromptで修正内容を整理しました。
この会話で、私が最初の依頼に追加した条件や、出力後に修正した点を抽出してください。
抽出した内容を、次の3つに分けてください。
1. すべての仕事で使う基本ルール
2. 週次進捗報告で使うルール
3. 今回だけの条件
各ルールについて、どの発言を根拠に抽出したのかも簡潔に示してください。
会話に書かれていない内容は、推測で追加しないでください。

整理してみると、以前伝えた条件は、すべて同じ場所に保存すべきものではありませんでした。
「推測で補わない」は、報告書だけでなく、メールや資料作成にも使えます。
一方、「完了・確認中・未決定を分ける」は、進捗報告で特に使いたいルールです。「7月25日」のような日付は、今回だけの条件になります。
ルールの種類によって、保存する場所を変える
整理した指示は、次の3か所に分けました。
1. 基本ルールはCustom Instructions
どの仕事でも使いたい条件を保存します。
確認できない情報を推測で補わないでください。不足している担当者、期限、数値がある場合は「要確認」と明記してください。
2. 週次報告のルールはProject Instructions
週次報告を作るProjectには、次のような指示を設定します。
週次進捗報告は、以下の順番で整理してください。
1. 全体の状況
2. 完了したこと
3. 確認中・未決定のこと
4. 次のアクション、担当者、期限
Project Instructionsは、そのProject内だけで使われます。そのため、週次報告の形式が、ほかの翻訳や文章作成に混ざるのを防ぎやすくなります。

3. 日付などは今回のPromptに書く
今回だけ使う期限、担当者、案件名などは保存せず、毎回のPromptで渡します。
ルールと個別情報を分けることで、古い期限や担当者を次の報告でも使ってしまうリスクを減らせます。
新しいメモで、もう一度試してみる
指示を設定したあと、別の週の業務メモを使い、次の短い依頼で報告文を作りました。
添付した今週の進捗メモから、社内向けの週次進捗報告を作成してください。

確認したいのは、文章がきれいになったかだけではありません。
- 最初に全体の状況が書かれているか
- 完了と確認中が分かれているか
- 次のアクションが明確か
- 不明な担当者や期限を推測していないか
こうした点を見れば、以前の修正が次の仕事にも反映されているかを確認できます。
実際にどのくらい時間を短縮できるかは、数週間使いながら測る必要があります。ただ、少なくとも毎回同じ形式を説明する代わりに、最新の業務メモを渡すところから始められる状態にはなりました。
見つけた指示を、そのまま使わない
注意したいのは、過去の会話で見つけたルールが、今も正しいとは限らないことです。
報告先や社内ルールが変わっている可能性があります。以前は必要だった項目が、今は不要になっていることもあります。
そのため、指示書に追加する前に、次の点を確認します。
- 現在の業務でも使えるか
- 最終的に採用したルールか
- ほかの指示と矛盾していないか
- 今回だけの条件が混ざっていないか
検索は、過去の内容を自動的に正解として登録する機能ではありません。
何を今後も残すかを決めるのは、人の役割です。
まとめ
Record & Replayでは、普段の画面操作を繰り返し使えるSkillとして残しました。今回は、ChatGPTの新しい横断検索機能を使い、過去の会話に埋もれていた修正や判断基準を整理し、Custom InstructionsやProject Instructionsとして残しました。
二つの検証を通して感じたのは、AIに仕事を任せるためには、作業そのものだけでなく、人が普段どのような基準で考え、判断しているのかまで、言葉にして残すことが大切だということです。
画面操作は手順として、思考や判断基準は指示書として残す。そうすることで、次回はすべてを説明し直さず、そのときに変わった情報だけを渡して仕事を始められます。
GDXでは、AI活用の本質は、作業をAIに任せることだけではなく、人の中にある暗黙知を明文化し、AIが再利用できる資産に変えることだと考えています。
参考文献(出典)
- 参考(公式):ChatGPT — Release Notes/OpenAI Help Center/https://help.openai.com/en/articles/6825453-chatgpt-release-notes
- 参考(公式):How do I search my chat history in ChatGPT?/OpenAI Help Center/https://help.openai.com/en/articles/10056348-how-do-i-search-my-chat-history-in-chatgpt
- 参考(公式):ChatGPT Custom Instructions/OpenAI Help Center/https://help.openai.com/en/articles/8096356-custom-instructions-for-chatgpt
- 参考(公式):Projects in ChatGPT/OpenAI Help Center/https://help.openai.com/en/articles/10169521-projects-in-chatgpt
※本文の一部はAIの支援を受けて作成し、筆者が加筆・修正しています。本記事は、GDXにおけるAI活用の考え方をもとに、筆者が実際に検証した内容をまとめたものです。機能や仕様の詳細については、公式発表・一次情報をご確認ください。

