Google Stitchは、UIを作るAIから「話を早く通す道具」へ変わってきた
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はじめに
こんにちは。AIリサーチ担当のMia Sato(佐藤ミア)です。
仕事って、実際に手を動かす時間より、「まず状況を説明する時間」のほうが長くないですか。
たとえば、
広告レポートを出したのに、会議ではまた背景から説明する
LPの話をしているのに、行間のイメージが人によって全然違う
社内画面を改善したいだけなのに、画面の姿が見えないまま議論が長引く
そんなことが、よくあります。
資料はある。論点もある。でも、みんなが頭の中で見ているものが揃っていない。
この「前提をそろえる時間」が長いほど、仕事はじわじわ遅くなります。
最近のGoogle Stitchを見ていて、私はこの課題に対して面白い可能性が出てきたと感じました。
単にUIを自動で作るツールとしてではなく、企画・運用・開発のあいだにある説明の往復を減らし、話を前に進めるための道具として見えてきたからです。
この記事でわかること
この記事では、Google Stitchの最新アップデートを整理しながら、
何が変わったのか
実務のどこで効くのか
どう使うとハマりやすいのか
導入前に何を見ておくべきか
をまとめます。
Why GDX
GDXでも、クライアントの方々からこうした悩みをよく伺います。
レポートはあるけれど、前提確認や個別質問への対応で、結局補足説明が発生する
販促・在庫・価格改定の情報が分かれていて、意思決定に時間がかかる
関係者ごとに見えている景色が違って、話が前に進みにくい
こうしたズレは、現場のスピードを少しずつ落としていきます。
だからこそGDXでは、Google Stitchのようにたたき台をすばやく可視化し、関係者の認識をそろえるためのツールに可能性があると感じています。
今回このテーマを取り上げるのも、単なる新しいUIツールの紹介ではなく、実務で起きている「説明のロス」を減らすヒントになりそうだと考えたからです。
まず、Google Stitchは何をするツールか?
ひとことで言うと、
言葉や画像から、UIのたたき台をすばやく作れるGoogle Labsの設計支援ツールです。
「こんなページを作りたい」
「こういう人向けの画面がほしい」
「この情報を見やすく並べたい」
そんな意図を文章で伝えると、
モバイルやWeb向けの画面案を作ってくれます。
しかも、ただのラフではなく、
「会話を始めるには十分」なレベルの画面が出てくる。
ここが大事です。
実務で最初に必要なのは、
100点の完成デザインではなく、
「これで話し始められる」状態だからです。
Google Stitchは、この1年で何が変わったのか?
最近の動きをざっくり言うと、
Google Stitchは単発のUI生成ツールから、
文脈を持って設計を進めるワークスペースに近づいています。
最初のStitch:まずは画面を作るAIだった
初期のStitchは、
テキストや画像からUIを作る
Figmaに持っていける
フロントエンドコードも出せる
といった特徴がありました。
この段階でも十分便利です。
とくに、まだ方向性が固まっていない企画の初期段階では、
「何もない」より「一枚でもある」ほうが、圧倒的に話が早いからです。
2025年12月:Gemini 3対応、Prototypes追加
2025年12月にはGemini 3に対応し、
UI生成の品質向上に加えて、Prototypesが追加されました。
つまり、
「きれいな1画面を出す」だけでなく、
「画面をどう遷移するか」まで見せやすくなった、ということです。
これが地味に大きい。
現場では、1枚の画面そのものより、
その前後で何が起きるかのほうが重要なことが多いからです。
2026年3月:AIネイティブなデザインキャンバスへ
さらに2026年3月には、機能がかなり広がりました。
無限キャンバス
デザインエージェント
Agent manager
DESIGN.md
音声操作
MCP / SDK経由のツール連携
ここまで来ると、もう印象はかなり変わります。
これは「UIを1枚作るツール」というより、
プロジェクトの意図や流れを持ちながら、設計の会話を進める場所に近いです。
言い換えると、
画面を作るAI
から
画面を使ってチームの認識をそろえるAI
へ、だいぶ寄ってきた感じがあります。
いちばん効くのは「完成品づくり」ではなく、「読み合わせの前倒し」
ここ、かなり重要です。
Google Stitchの価値を
「すごいUIが一発で作れるかどうか」だけで見ると、少しもったいないです。
実務で本当に効くのは、
関係者の読み合わせを早く始められることだと思います。
会議でよくあるのは、
行っていることは同じなのに、見ている景色が違う
言葉は通じているのに、画面イメージが揃っていない
説明しているのに、伝わったかどうか分からない
という状態です。
Stitchがあると、そこに「とりあえず見えるもの」を置ける。
すると、議論は一気に具体的になります。
ここは違う
この順番がいい
この導線は迷いやすい
この情報は上にほしい
このパターンなら現場も使いやすい
こんなふうに、
抽象的な議論が、修正可能な議論に変わるんです。
GDXの視点で見ると、どこで使いやすいのか?
ここからは、実務に寄せて見ていきます。
とくに、EC運用や社内業務の文脈で考えると、かなり試しやすい場面があります。
1. ECのLP・特集ページの案出し
「まず3案見せて」が、一番時間がかかる場面
たとえば、月初の販促会議で、こんな状況はよくあります。
来週から夏セールを始めたい
企画は決まっている(涼感アイテム特集)
でもページの構成はまだ決まっていない
EC担当がこう言います。「とりあえずLP案を出したいんですが…」
すると会議が止まります。
どの切り口で見せるかが決まらない。
さらに、
マーケ、MD、デザイナーで重視したい点が少しずつ違い、最初の1案がなかなか決まらない。
それぞれ正しいことを言っているのに、
最初の1案が決まらない。
これが一番時間がかかります。
Stitchの使い方
ここでは、最初から完璧なLPを作ろうとしません。
まず「会議で見れるレベルの4画面」だけを作ります。
トップ
商品一覧
FAQ
購入導線
指示もシンプルで十分です。
夏の涼感アイテム特集。
新規ユーザーでも一目でお得感が分かる構成。
主視覚・キャンペーン・人気商品・レビュー・FAQ・購入導線を入れる。
スマホ中心、明るく分かりやすいトーン。
何を見るか(重要)
ここで見るべきは「デザイン」ではありません。
どの案が一番意図に近いか
どこがズレているか
何を優先するか
つまり、「使えるか」ではなく「議論が進むか」で判断します。
2. 在庫・価格変更・問い合わせ状況など、分断された情報を横断して見る社内画面の要件整理
「言えば分かるはず」が、一番危ない場面
たとえば、週明けの朝、EC運用チームの確認ミーティングで、こんな状況はよくあります。
昨日から一部商品の在庫が薄くなっている
いくつかの商品は価格改定が入っている
問い合わせも増えていて、CSが状況を気にしている
ただ、必要な情報が複数の画面やデータに分かれていて、どの商品を優先して見るべきかがすぐには分からない
そこで、「社内画面を少し見やすくしたい」という話になります。
一見すると、よくある改善相談です。
でも、ここから急に難しくなります。
なぜかというと、同じテーマを見ても、立場ごとに欲しい情報が違うからです。
運用、CS、MD、開発で見たい情報や前提が少しずつ異なるため、要件整理が難しくなります。
しかもデータ元も分かれているため、何を最初の画面に置くかが曖昧になりがちです。
全員、正しいことを言っています。
でも会話は最後にこう止まりがちです。
「で、最初の画面に何を置くんでしたっけ?」
しかも、朝の運用で迷わず見られること、情報を1画面に詰め込みすぎないこと、大規模な作り直しは避けたいことなど、制約も少なくありません。
このとき一番危ないのが、
「言えば分かるはず」で会話を進めてしまうことです。
Stitchの使い方
ここでは、最初から細かい仕様を固めようとしません。
まずは、業務フローが見える4画面だけを作ります。
商品一覧
商品詳細
在庫異常一覧
価格変更確認
指示も、技術仕様ではなく、現場の状況ベースで十分です。
利用者はEC運用担当。
忙しい朝に、どの商品を優先して対応すべきかをすぐ判断したい。在庫切れ、価格変更、問い合わせ増加など、複数の情報をまたいで異常が分かりやすいUIにしたい。一覧では優先順位が見え、詳細では対応理由が分かる構成にしたい。
これだけでも、かなり会話が進みます。
何を見るか(重要)
ここで見るべきなのは、「UIが完成しているか」ではありません。
何を一覧に置くべきか
何を詳細に回すべきか
異常の見せ方は十分か
優先順位が一目で分かるか
つまり、
要件が「文章で出すもの」から、「画面を見ながら決めるもの」に変わるんです。
これだけで、要件整理はかなり前に進みます。
導入前に見ておきたいのこと
1. 役割は「本番制作」ではなく「下書きと合意形成」と割り切る
Google自身も、Stitchや関連機能をexperimentalとして扱っています。
なので、運用のしかたとしては、
そのまま本番投入する
のではなく、下書きを早く作る
比較案を並べる
会話を具体化する
という使い方のほうが、失敗しにくいです。
この割り切りがあると、かなり扱いやすくなります。
2. データは「便利だからそのまま入れる」がいちばん危ない
ここは本当に大事です。
Googleの一般的なポリシーでは、利用するサービスや設定に応じて、入力した内容や利用情報が扱われうることが説明されています。
ただし、Stitch専用の公開条件として細かく確認できる範囲には限りがあるため、顧客情報、売上明細、原価、未公開施策などをそのまま投入するのは避けたほうが安全です。
おすすめは、最初は次のようにすることです。
ダミーデータを使う
商品名を仮名にする
数値は概算にする
本物のCSVは入れない
項目だけにして構造を見る
AIに最初にやってもらうのは、
「機密情報の処理」ではなく、
画面構成と会話の土台づくりで十分です。
まとめ
Google Stitchの最新アップデートを見ていて感じるのは、
これはもう単なるUI生成ツールではなく、
企画・運用・開発の読み合わせを早くするための設計支援AIになりつつある、ということです。
とくに相性がよさそうなのは、
ECのLPや特集ページのたたき台づくり
社内画面の要件整理
ベンダーとの初回すり合わせ
導線比較や複数案の提示
あたりです。
最初から完成品を期待しすぎない。
でも、下書き・比較・合意形成の速度を上げる道具として見る。
この距離感で使うと、かなり実務に効くはずです。
「説明から始まる会議」がしんどい。
「まず見える形にしたい」がいつも叶わない。
そんなチームほど、一度試してみる価値はあると思います。
参考文献(出典)
参考(公式):Introducing “vibe design” with Stitch/Google Blog/https://blog.google/innovation-and-ai/models-and-research/google-labs/stitch-ai-ui-design/
参考(公式):From idea to app: Introducing Stitch, a new way to design UIs/Google Developers Blog/https://developers.googleblog.com/en/stitch-a-new-way-to-design-uis/
参考(公式):Stitch from Google Labs gets updates with Gemini 3/Google Blog/https://blog.google/innovation-and-ai/models-and-research/google-labs/stitch-gemini-3/
参考(解説/専門家):I tried Google Stitch. Here’s what I loved (and hated) about it/Chinwe Uzegbu/LogRocket Blog/https://blog.logrocket.com/ux-design/i-tried-google-stitch-heres-what-i-loved-hated/
参考(解説/専門家):Google Labs turns Stitch into a full AI design platform that converts plain text into user interfaces/Matthias Bastian/THE DECODER/https://the-decoder.com/google-labs-turns-stitch-into-a-full-ai-design-platform-that-converts-plain-text-into-user-interfaces/
※本文の一部はChatGPTの支援を受けて作成し、筆者が加筆・修正しています。内容は筆者個人の見解であり、GDX株式会社の公式見解・声明を示すものではありません。情報は参考目的であり、公式発表・一次情報をご確認ください。
